NHKにようこそ! (1)滝本 竜彦 大岩 ケンヂ / 角川書店
ひきこもりマンガ。盛り上がっているようだったので、買ってみた。滝本竜彦氏の原作を基に、マンガ版GOTHを手掛けた大岩ケンヂ氏が描いた漫画である。GOTHのダークな世界とは真逆の世界を描く大岩氏、そのタッチには萌えを感じる。
妄想でヒロインにいやらしいことをしてみたりするが、オタクと関わることなど無かったひきこもりの佐藤は、隣人の山崎からオタクの生き様を吹聴され、乾燥したスポンジを水に浸したかのごとくその道の知識を吸収し、オタクの道へと転がり落ちていく。二人はエロゲー制作を目標に掲げ、萌えの道をひた走る。
ひきこもりに対してはネガティブなイメージを持っていたのだけれど、その割には暴走していたり、妙に普通の人だったりと、掴み所のない荒唐無稽さで突っ走る佐藤。ひきこもりと言うより、どっちかと言うとオタクの話。いや、寧ろオタクで埋め尽くされている。山崎はまさにオタクの鑑だ。アキバへ出たときのスタイルが全てを表していた。背中にはリュックサック、その右肩側にはビームサーベルよろしくポスターが突き出ている。両手には勿論紙袋。オタクを心得た、オタクの中のオタクだ。アキバなどに出かけてみよう。そういう人間がいるはずだ。
オタクのガイドマンガとして、バイブル化されるのではないかと思ってしまう。現在進行形でオタクな人々にとっては、ニヤニヤさせられたり、身につまされたり、まだまだ甘いと思ったりするマンガだろう。かくいう僕も、山崎の行動がよく分かって仕方がない。「お帰りなさいませ(はぁと) ご主人様~♪」の件はマジで笑い転げてしまった(余談だが、こういう場所と風俗はどう違うのだろうと思えて仕方がない)。さて、さらに突っ込むと、佐藤と山崎の関係は、コミケをテーマにした某ゲームの二人の関係によく似ていると思う。熟練したオタクと、初心者のオタク。素人佐藤の行動が面白すぎる。
NHKというタイトルはもとより、話の合間にはさまる少年エースを宣伝する4コマが、さくら玉吉がコミックビームの宣伝をしている4コマよろしく、やりたい放題で良い感じである。作中でナディア(『ふしぎの海のナディア』)を普通に登場させているのには大爆笑した。「NHK 真の彼らの目的とは… N=日本・H=ひきこもり・K=協会」。NHK=日本ひきこもり協会。その男気溢れる変換には敬意を表したい。
止まらない暴走特急。これはまさにオタクのマンガなのである。佐藤の書いたシナリオが読みたい。